英語の勉強って「何から始めれば」いいのですか?
仙台市内の高校に通うIさんの、東北福祉大学合格判定はCとDを行ったりきたりという状況でした。試験科目である【英語、国語、社会(日本史を選択)】の中では「得意科目もないけれど、苦手科目もない。自分なりに英語に一番力を入れているけれど、手応えがないので不安(本人談)」ということでした。
一番力をいれて取り組んでいるのに、結果につながらない場合は「勉強方法そのもの」に原因があることが少なくありません。さっそく、今までの模試の詳しいデータと使っているテキスト等を確認させてもらいます。
Iさんの高校では英語の課題として「英文暗記」のプリントが配布されていました。
このような基本的な短文が数十行ほど並んだプリントが与えられ、それを書けるようにすることが定番の課題になっていたのです。Iさんは、それらの英文を「丸暗記」していました。使用されている文法や語法を理解するのではなく、ひとつの文章を何度も書いて完全に書けるようにすることを目指していたのです。
詳しく話を聞くと、以前通っていた塾の先生に「英語の勉強方法は、英文を暗記すること」と参考書の例文を暗記していくように指導を受けたからとのこと。そして、高校の英語の授業でも、同じように「例文暗記」の課題が中心だったため、そのまま続けていたそうです。
担当の先生は「この方法だと、英文の暗記だけで時間が足りなくなってしまうのでは?」とIさんに質問しました。すると「覚える例文の量も多いので、あとは英単語を調べたり(長文読解の)日本語訳を確認するくらいで時間ギリギリです。他の教科も課題が出ているので、そちらもやらないといけないし…」とのこと。Iさんの場合は、この学習方法を見直すところに改善策が見つけられそうです。
自分なりに一生懸命に頑張っている。それでも結果につながらない。そんな時は「学習方法そのもの」を見直してみることも大切だよ。試行錯誤を怖がらずに、実際に試してみよう。
受験英語対策は、この5分野から攻略していく。
ひとくちに「英語の受験対策」といっても、様々な方向からの対策が必要です。確かに英文暗記だけでも(最終的には)成績向上につながるかもしれませんが、限られた受験生活の中では少しでも効率よく、そのまま入試問題の解答につながる学習方法を取り入れて行くのが基本となります。
私たちがアドバイスしている英語対策(筆記)は、大きくわけて、
1)語法(英単語・熟語)
2)英文解釈
3)英文法
4)長文読解
5)英作文(並べ替え)
この5分野にわけて進めていきます。ただ漠然と「がんばって問題を解こう!」ではなく、全体像と、そのために必要なパーツ(分野)を説明してから始めていくようにしています。
担当の先生は、Iさんに東北福祉大学の過去問を見せながら、解答するために必要な知識、問われている内容の全体像を説明。そして「ある一定の知識が身に付くまでは大変だけど、そこを越えてしまえば、一気に波に乗れるのが英語の面白いところ。しばらくは地道にがんばる時間が続くけど、がんばっていけるかな?」とIさんに確認します。Iさんからは、即座に「はい!」と返事が返ってきました。さあ、いよいよスタートラインに立つ事ができました。
なにごともバランスが大切。ひとつの角度からではなく、様々な角度から眺めてみよう。大きくジャンプできるヒントは「あ、こんなところに。気がつかなかった!」と、意外なところに隠れているものだよ。
入試問題に直結する、問題演習で枝葉を広げていく。
スタートラインに立てたならば、次は具体的な学習計画を立てて行きます。今回担当の先生がIさんに、最初に用意したテキストは【英単語・熟語+英文解釈】の2冊。英文解釈は志望校である東北福祉大学の難易度よりもやや簡単なレベルのものからスタート。そこに学校で使用していた英語の文法参考書を加えた、合計3冊で始めることにしました。
基本的には【英文解釈】のテキストを中心に進めていきます。英文を日本語に訳しながら、そこに使用されている文法事項をピックアップして解説を加えていきます。とくにIさんの場合は英文解釈の演習が不足していたので、英文の構造(語句のつながりと、解釈方法)にも触れながら、重要な英文はていねいに分解し解説していくことも行っていきました。授業の最初と最後には「英単語・熟語」のテキストから確認テストを出題し、暗記分野の補完も行っていきました。
Iさんは、週2回の授業を行ったのですが、最初のころは一度の授業で200文字の長文読解が終わらないこともありました。予定の課題に間に合わず途中で計画の修正を考えたのですが、Iさんは「今度の週末に取り戻します」と、細切れの時間を上手に活用して当初の予定に追いつくようにがんばっていきました。Iさんの良かったところは、
1)マイペースで安定した状態をキープできた。
2)追い込みをかけて課題を粘り強く終わらせることができた。
この2点です。計画通りに進まないと、それがストレスになって全体の作業が落ち込んでしまう生徒も少なくありません。確実ていねいに進めつつ、時には力強く追い込みをかけることも必要になるのですね。
5分、10分単位でできることを、一日の計画に組み込んでいくとリズムが生まれるよ。5分を10回繰り返せば50分。移動や待ち時間などを上手に活用していこう。
一年前と違う自分に出会えるのは、
いつだって「本気で挑戦した人」だけ。
受験勉強を続けていると、ある一定の学習量(時間)をこなしたところで、ひとつ階段を上がるように一気に学力が向上するタイミングがあります。Iさんの場合は、本格的な受験勉強を始めた春からちょうど6ヶ月後、10月を過ぎたあたりから読解の速度が早くなってきました。
Iさん自身も「最近、なんとなく読めるようになってきました」と感想を述べるようになり、それが自信につながってきたようです。演習量と自信が組み合わさってくると、やがてそれは結果にも表れてきます。模試の合格判定もB判定となり、A判定も見えてくるようになりました。
入試まで残り数ヶ月。一度終わったテキストを再度復習し、土日は図書館を利用するなど学習環境を工夫しながら、静かに緊張した時間が続きました。そして入試当日を迎え、待ちに待った合格発表の日・・・。
と笑顔を浮かべながら、まるで人ごとのように報告するIさん。横に座っている母親と一緒に静かに会話をしている様子からは、目標を立て実行しやり遂げたという自信が漂う、一年前の春とはどこか違うIさんの姿がそこにあったのです。
長く続けてきた学習方法や入試への意識を変えていくことは、時間のかかる作業のひとつです。途中で「もう、このままでいいや・・・」と諦めてしまう生徒も少なくありません。しかし、合格した先輩達は、どこかで間違いに気づき全力で改善を行っていきます。その結果として「あこがれの第一志望校へ、春から進学する」という最高の瞬間を手にできるのです。
もしも今あなたが「今までの学習方法や考え方を見直し、全力で挑戦していきたい」と考えているのなら、私たちのところに相談してください。何かアドバイスができるかもしれません。
マイペースな努力の時間は、必ずキミを成長させてくれる。自分を信じてがんばれ!